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そこで何が起こってきたのか? 乃木坂46・伊藤万理華が起こした「アンダーライブという革命運動」

[EX大衆1月号]

伊藤万理華のブログに「迷っていた時期にやっと決心できた瞬間がアンダーライブ中国地方で歌ったきっかけでした」とある。放たれる熱、突き動かされる感情、それが渦巻くアンダーライブ。それは彼女の残した一文が「きっかけ」でもあった。

 2014年5月3日、複数のメンバーのブログから焦燥と不安を感じた僕は、2回目のアンダーライブ(O-EAST)の会場へと突き動かされた。そこで目にしたのは、「乃木坂らしくない」荒々しいパフォーマンスだった。

 2週間後、僕は名古屋(ポートメッセなごや)にいた。「最後のアンダーライブ」を見届けるためだ。伊藤寧々&万理華の『孤独兄弟』から井上小百合センターの『ダンケシェーン』、齋藤飛鳥センターの『扇風機』という流れは、「全員主役」という幸福なライブの形を提示していた。

 アンダーライブ1stシーズンからは2期生(当時は研究生)も合流。できる子も拙い子も自分がやれることをガムシャラに真っ当にやる。ただ、それだけなのに観ていて涙が溢れてくるようなライブだった。また、『ここにいる理由』のセンターに立つ万理華は、これまでの乃木坂のイメージを覆すパフォーマンスを見せた。彼女はこの曲で「サヨナラはきっかけなんだ」と歌っている。

 その千秋楽、ユニット投票企画で報われなかった畠中清羅(現在は卒業)のために、永島聖羅は「私が怒られてもいい。アンダーライブを成功させたい!」とスタッフに直談判し、追加で4曲歌うことが決定する。

 終演のアナウンスがかかっても鳴り止まないWアンコール。『ロマンスのスタート』のイントロが流れると、泣きはらした目のメンバーたちが飛び出す。メンバーとファンの想いが高い地点でひとつになった奇跡の瞬間。僕は目撃者になった。

 10月に行われた2ndシーズン。足のケガで休演することもあったセンター井上だが、復帰すると『あの日僕は咄嗟に嘘をついた』で“憑依”した表情を見せた。「スペシャル公演」で行なわれた寧々の卒業は感動的だったが、それ以上に「10月16日」を目撃できなかった後悔が大きかった。

 その日、一部報道でファンの心はざわついていたが、井上と山崎怜奈の復帰で全員が揃ったアンダーメンバーは熱いライブを通して想いを伝えると、千秋楽でもないのにWアンコールが発生した、という。この奇跡に立ち会えなかった後悔は僕の脳裏に深く刻まれている。

 12月の有明コロシアム公演は、「全員センター」という演出で「全員主役」というアンダーライブの特性を見せつけた。しかし、「選抜とアンダーの関係」を思考し続けた飛鳥はこのライブを素直に受け入れられなかったという。その姿勢は、選抜常連やセンターになっても不変だ。飛鳥の原点は間違いなくアンダーライブにある。

 15年4月の3rdシーズンはノンストップライブ。センターに起用された中元日芽香が躍動した。10月の4thシーズンは、堀未央奈をセンターに原点回帰を思わせる構成。千秋楽で、堀は「アイドルをやっててよかった」と口にする。映画『悲しみの忘れ方』がこのライブで完結したのだ。

 この年の12月、アンダーメンバーは日本武道館に到達した。初日にMCの中心だった永島が卒業を発表し、2日目のアンコールで万理華や飛鳥、井上らの元アンダーメンバーが神々しく登場したことで、「レジスタンスとしての」アンダーライブは幕を閉じた。

 16年からはアンダーライブ全国シリーズがスタート。名古屋での永島聖羅卒業ライブ(3月)を挟んで、4月には中元を中心としたメンバーが乃木坂46の代表として東北を回った。千秋楽では、中田が「スポットライトが当たらなくても自分で輝けばいい」と過去との決別を宣言した。

 この期間、面白い存在だったのは北野日奈子。永島には「(卒業を)認めてません」と絡み続け(最後はもちろん和解)、東北シリーズから変わった演出家との衝突を明かしつつも最後は乗り越えてみせるなど、自らドラマを作る才能を発揮したのだ。

 秋のアンダーライブ中国シリーズは、初センターの樋口日奈の脇を万理華と井上が固める布陣。広島で観た万理華と井上のダンスは繊細ながら鬼気迫るものがあり、2人の女王の魂を受け取った樋口は『きっかけ』を心に問いかけるように歌った。

 千秋楽の山口公演、井上は「アンダーとしてのライブは複雑」と率直に語り、『きっかけ』で万理華は近い将来の卒業を心に決める。乃木坂版『キッズ・リターン』の2人は、このライブで未来につながる最良の選択をした。僕は山口公演を観ていない。

 ここからは記憶に新しいだろう。12月の武道館で寺田蘭世が熱く吠え、今年4月には東京体育館で渡辺みり愛が愛で包み込んだ。みり愛の隣には鈴木絢音と山崎怜奈。3年前は正規メンと研究生の“ボーダー”だったメンバーが、選抜とアンダーの“ボーダー”まで這い上がってきたのだ。

 18thシングルに収録されたアンダー曲のタイトルはそのまま『アンダー』。その歌詞は、猛毒を含んでいた。「当たってないスポットライト」と歌うことで、過去に引き戻された気持ちになったメンバーもいたことだろう。Wセンターの中元と北野も曲の魔力に翻弄されてしまう。

 10月の九州シリーズ。Wセンターのひとりである中元は初日から出演し、卒業を前に魂を削りながらステージに立った。だが、もうひとりのセンター北野の不在は4日続いた。

 僕は5日目の福岡国際センターに足を運んだ。オープニングで会場にどよめきが伝播し、大音量のコールに変わる。そう、北野が復帰を果たしたのだ。中元(この日は2曲のみ出演)と北野は『アンダー』の歌詞を朗読すると、抱擁。2人が紙一重の状態から手繰り寄せた奇跡の瞬間だ。

 彼女たちは『ここにいる理由』から『僕だけの光』の6曲で、一度は見失った「希望」を見つけようとする。最後、北野は心の揺らぎを率直に語った。ビジョンには北野と白いガーベラが重なって映る。その花言葉は「希望」だ。『アンダー』の魔力はライブで昇華された。千秋楽の宮崎公演では中元と北野が並んで完走したが、僕はそのライブを観ていない。

 初期アンダーライブを引っ張った万理華が年内で卒業する。彼女が14年1月30日のブログに綴った「アンダーに対しての概念ぶっ壊してやる」という一文が、アンダーライブを革命運動に変えた。その闘争は青春であり、僕らはアンダーから選抜に入ったメンバーにも青春の影を見付け追い続けた。その青春の影は、今年11月の東京ドームで新旧アンダーメンバーによるパフォーマンスという青春の煌きに変わっていた。

 アンダーライブにおけるメンバーとファンの距離の近さは、心の距離の近さでもある。メンバーとファンのシンクロ率が高いからこそ、熱が生まれて奇跡が起こるのだ。本誌が発売される頃には、アンダーライブ中国・四国シリーズが始まっている。僕が観なかったライブで何かが起こり、それを誰かが観るのだろう。そして、誰かが突き動かされるのだ。

文/大貫真之介

※この記事は、EX大衆1月号に掲載されたものです

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